「性具」とは
【性具(せいぐ)】とは、性行為の際に、性的快感を増幅し、性的欲望を十分に満たす目的で使用される道具である。
女性用・男性用のほか様々な形態、使用法のものがある。淫具とも言い、俗に「大人のおもちゃ」とも呼ばれる。
性具は、おもに生殖器や肉体を刺激し、より豊かな性的な快楽を得ることを補助する効果があり、オナニーの補助の道具としてや特殊な性的嗜好に特化した物などがある。
その目的により、形状、使用方法などはさまざまであるが、通常の性行為を楽しむ目的のほか、性機能障害や不感症の改善に役立つと一般には認識されていることもある。
古くから、女性が快楽を追求する行為は不道徳的であると見なされていたため、これら器具の多くは男性の願望を強く反映した。しかしながら近年では女性の性的な欲求も社会的に認知されるようになって、女性自身の発案による器具も多く出回るようになっている。
性具は、人の体、とくに粘膜等に接触し、製品によっては女性器等の体内に一時的に留置されるものがあることから、日本の薬事法上、医療機器の分類になる。したがって、製造販売には薬事法上の許認可が必要となる。
しかし、現実には医療機器製造販売業・製造業の許可を得ていない事業者が、「玩具」「ジョークグッズ」等の表現で販売していることが多い。
人の粘膜等への接触が想定されるものを薬事法の許可なく製造販売すれば薬事法違反であるうえ、要求されている品質管理が行われていない性具は、品質上の問題を包含していることが多い。
薬事法による販売規制のほかに、公序良俗の観点からも地域条例による規制がある場合があり、業界内で自主規制を設けていることがある。
これらの器具の多くは「いかがわしい物」として、公然とは販売されていない。また購入者も買った事が周囲に知られる事を嫌う者が多いため、価格に不相応な粗悪製品が出回っているのが一般的であった。しかしインターネットが普及し、製品の比較が容易になされるようになり、良心的で品質面に配慮した製品を発売するメーカーも見られるようになってきた。日本では2006年に、グッドデザイン・コンテストに出品しようとした業者もおり、この時は審査段階で強制撤去になったものの、性具メーカーが工業製品としての安全性・信頼性を意識する段階にあることが伺える。